諸掛り(付随費用)とは、商品売買に伴って発生する送料や保険料などの費用のことです。
簿記3級では次のルールが最重要です。
- 商品を仕入れたときの送料 → 「仕入」に含める
- 商品を販売したときの送料 → 「発送費」にする
- 相手が負担する送料を立て替えた → 「立替金」にする
諸掛り問題は難しく見えますが、
①仕入か売上か
②誰が負担するか
の2つを確認すれば解けるようになります。
この記事では、諸掛りの考え方から仕訳・計算方法・間違いやすいポイントまで初心者向けにやさしく解説します。
諸掛りの仕訳はこの表だけ覚えればOK
まずは全体像を確認しましょう。
| 取引内容 | 当社負担 | 先方負担 |
|---|---|---|
| 商品を仕入れた | 仕入に含める | 立替金 |
| 商品を販売した | 発送費 | 立替金 |
諸掛りの問題は、
「仕入か売上か」
↓
「誰が負担するか」
の順番で考えると整理しやすくなります。
諸掛り問題の解き方3ステップ
試験では複雑に見える問題もありますが、次の順番で考えれば大丈夫です。
仕入か売上か確認する
まずは商品を
- 買ったのか
- 売ったのか
を確認します。
商品を買ったなら仕入諸掛り、商品を売ったなら売上諸掛りです。
誰が負担するか確認する
次に問題文で
- 当社負担
- 先方負担
を確認します。
ここを読み飛ばすと失点しやすくなります。
勘定科目を選ぶ
当社負担なら
- 仕入 → 仕入
- 売上 → 発送費
先方負担なら
- 立替金
を使います。
この3ステップを意識すると、多くの問題を解けるようになります。
4パターンをまとめて確認しよう
諸掛りは次の4パターンが頻出です。
仕入+当社負担
商品1,500円を掛けで仕入れ、送料100円を現金で支払った。
(借)仕入 1,600 / (貸)買掛金 1,500
現金 100
送料も商品の取得原価になるため、「仕入」に含めます。
仕入+先方負担
商品1,500円を掛けで仕入れ、先方負担の送料100円を立て替えた。
(借)仕入 1,500 / (貸)買掛金 1,500
(借)立替金 100 / (貸)現金 100
送料は後で回収できるため「立替金」です。
売上+当社負担
商品2,000円を掛けで販売し、発送費50円を現金で支払った。
(借)売掛金 2,000 / (貸)売上 2,000
(借)発送費 50 / (貸)現金 50
発送費は売上とは別の費用として処理します。
売上+先方負担
商品2,000円を販売し、得意先負担の送料50円を立て替えた。
(借)売掛金 2,050 / (貸)売上 2,000
立替金 50
または問題文によっては立替金を使う形で処理します。
初心者向けの覚え方
諸掛りを暗記しようとすると混乱します。
次の考え方がおすすめです。
仕入の送料
商品を自分の会社まで運ぶための費用
↓
商品の価値の一部
↓
「仕入」に含める
売上の送料
商品を届けるためのサービス費用
↓
販売活動の費用
↓
「発送費」にする
このイメージを持つと暗記に頼らず理解できます。
実務ではこう考える
税理士事務所などの実務でも、仕入諸掛りは商品の原価として考えます。
例えば、
- 商品代金 10,000円
- 送料 1,000円
なら、
商品原価は11,000円です。
もし送料を別管理すると、その商品が本当にいくらで仕入れられたのか分からなくなります。
そのため簿記では、
「商品を手元に準備するまでにかかった費用は商品原価に含める」
という考え方を採用しています。
この考え方は固定資産を購入するときの付随費用にも共通しています。
よくあるミス
送料だから発送費にしてしまう
送料という言葉だけを見て判断すると危険です。
まずは
- 仕入か
- 売上か
を確認しましょう。
先方負担なのに仕入に含める
先方負担の送料は商品原価ではありません。
後で返してもらう権利なので立替金になります。
立替金を忘れる
簿記3級では非常によく出題されます。
「本来誰が払う費用か」
を意識すると判断しやすくなります。
まとめ
諸掛りのポイントは次の3つです。
- 仕入諸掛り(当社負担) → 仕入に含める
- 売上諸掛り(当社負担) → 発送費にする
- 先方負担を立て替えた → 立替金にする
問題を解くときは、
①仕入か売上か
②誰が負担するか
の順番で考えれば、多くの問題に対応できます。
諸掛りは商品売買の中でもつまずきやすい論点ですが、考え方を理解すれば得点源になります。

