「返品の仕訳はどうするの?」
「手付金を支払ったのに、なぜ仕入ではないの?」
「前払金と前受金の違いがよく分からない……」
簿記3級を勉強していると、返品や手付金の問題で手が止まる人は少なくありません。
返品では「逆仕訳」、手付金では「前払金」「前受金」という勘定科目が登場するため、暗記だけで覚えようとすると混乱しやすい論点です。
しかし、考え方はとてもシンプルです。
- 返品は元の取引を取り消す
- 手付金は商品がまだ動いていない
- 前払金は権利
- 前受金は義務
この4つを理解できれば、試験問題でも迷わなくなります。
この記事では、売上戻り・仕入戻しの仕訳と、前払金・前受金の考え方を初心者向けにやさしく解説します。
まずは結論|返品と手付金の仕訳一覧
最初に試験でよく出る仕訳を確認しておきましょう。
| 取引 | 仕訳 |
|---|---|
| 売上戻り(返品された) | 売上/売掛金 |
| 仕入戻し(返品した) | 買掛金/仕入 |
| 手付金を支払った | 前払金/現金 |
| 手付金を受け取った | 現金/前受金 |
まずは、
- 返品=逆仕訳
- 手付金=前払金・前受金
と覚えておくと理解しやすくなります。
返品(売上戻り・仕入戻し)とは
返品とは、販売した商品や仕入れた商品を元に戻す取引です。
例えば、
- 品違いだった
- 商品が破損していた
- 数量が間違っていた
といった場合に返品が発生します。
簿記では、
「最初からその取引がなかったことにする」
という考え方で処理します。
そのため、元の仕訳を取り消す「逆仕訳」を行います。
ポイント
- 売上戻りは売上を取り消す
- 仕入戻しは仕入を取り消す
- 元の仕訳を逆にする
逆仕訳とは?
逆仕訳とは、一度行った仕訳を取り消すための仕訳です。
元の仕訳の借方と貸方を入れ替えるだけなので、考え方は難しくありません。
例えば商品を10,000円掛け販売した場合の仕訳は次のようになります。
(借)売掛金 10,000 / (貸)売上 10,000
その後、2,000円分返品された場合は、
(借)売上 2,000 / (貸)売掛金 2,000
となります。
結果として、
売上 10,000 − 2,000 = 8,000
だけが残ります。
これが返品を「なかったことにする」という考え方です。
【具体例】売上戻りの仕訳
問題
掛けで販売した商品10,000円のうち、2,000円分が返品された。
元の仕訳
(借)売掛金 10,000 / (貸)売上 10,000
返品時
(借)売上 2,000 / (貸)売掛金 2,000
なぜこうなる?
返品によって、
- 売上が減る
- 売掛金が減る
からです。
売上を取り消し、代金を受け取る権利も減少させます。
【具体例】仕入戻しの仕訳
問題
掛けで仕入れた商品10,000円のうち、2,000円分を返品した。
元の仕訳
(借)仕入 10,000 / (貸)買掛金 10,000
返品時
(借)買掛金 2,000 / (貸)仕入 2,000
なぜこうなる?
返品によって、
- 仕入が減る
- 買掛金が減る
からです。
代金を支払う義務を減らし、仕入も取り消します。
手付金とは?
商品の売買では、注文時に代金の一部を先に支払うことがあります。
これを手付金(内金)といいます。
ここで重要なのは、
お金は動いているが、商品はまだ動いていない
という点です。
簿記では、「商品が引き渡された時点」で売上や仕入を計上します。
そのため、手付金を支払っただけでは仕入になりません。
手付金を受け取っただけでは売上にもなりません。
前払金とは?
前払金は、商品を受け取る前に支払ったお金です。
将来商品を受け取る権利があるため、資産に分類されます。
手付金を支払った場合
商品100,000円を注文し、手付金20,000円を現金で支払った。
(借)前払金 20,000 / (貸)現金 20,000
ポイント
前払金は、
「商品を受け取る権利」
を表しています。
前受金とは?
前受金は、商品を引き渡す前に受け取ったお金です。
将来商品を渡す義務があるため、負債に分類されます。
手付金を受け取った場合
商品100,000円の注文を受け、手付金20,000円を受け取った。
(借)現金 20,000 / (貸)前受金 20,000
ポイント
前受金は、
「商品を渡さなければならない義務」
を表しています。
商品を受け渡したときの仕訳
前払金を支払っていた場合
注文した商品100,000円を受け取り、残額80,000円は掛けとした。
(借)仕入 100,000 / (貸)前払金 20,000
買掛金 80,000
前払金を仕入に振り替えます。
前受金を受け取っていた場合
注文を受けた商品100,000円を引き渡し、残額80,000円は掛けとした。
(借)前受金 20,000 / (貸)売上 100,000
売掛金 80,000
前受金を売上へ振り替えます。
初心者が間違えやすいポイント
手付金を売上や仕入にしてしまう
最も多いミスです。
簿記では、
商品を受け渡した時点
で売上や仕入を計上します。
お金が動いただけでは売上にも仕入にもなりません。
前払金と前受金を逆に覚える
覚え方はシンプルです。
前払金
→ 自分が先に払う
→ 権利
→ 資産
前受金
→ 自分が先にもらう
→ 義務
→ 負債
返品だからといって仕訳を消してしまう
簿記では一度記録した仕訳を消しません。
理由は、
- 改ざん防止
- 取引履歴を残すため
です。
返品があった場合は、必ず逆仕訳で処理します。
実務では返品処理も重要
税理士事務所の実務でも返品処理は頻繁に発生します。
特に小売業や通販業では、
- 売上データ
- 返品データ
- 在庫データ
が一致しているかを確認することが重要です。
簿記3級では単純な仕訳として学びますが、実務でもそのまま使われる大切な考え方です。
FAQ
Q. 前払金と未払金の違いは何ですか?
前払金は商品を受け取る前に支払ったお金です。
未払金は商品やサービスを受け取った後、まだ支払っていないお金です。
Q. 前受金と売上の違いは何ですか?
前受金は商品を渡す前に受け取ったお金です。
売上は商品を引き渡した時点で計上します。
Q. 返品は必ず逆仕訳になりますか?
簿記3級では基本的に逆仕訳で処理します。
元の仕訳を取り消すと考えると理解しやすくなります。
Q. 前払金と前受金は試験によく出ますか?
はい。
商品売買の総合問題や仕訳問題で頻繁に出題される重要論点です。
まとめ
返品と手付金は、簿記3級でつまずきやすい論点の一つです。
しかし、考え方を理解すると難しくありません。
- 売上戻りは売上を取り消す
- 仕入戻しは仕入を取り消す
- 返品は逆仕訳で処理する
- 前払金は権利なので資産
- 前受金は義務なので負債
- 売上や仕入は商品受渡時に計上する
このルールを押さえれば、返品や手付金の問題でも迷わず仕訳できるようになります。

