「受取手形と支払手形が覚えられない」
「電子記録債権って何?」
「仕訳になると急に分からなくなる」
約束手形や電子記録債権は、簿記3級で多くの人がつまずく論点です。
しかし、仕組みそのものはそれほど難しくありません。
大切なのは、
- 誰がお金を受け取る権利を持つのか
- 誰がお金を支払う義務を負うのか
を整理して考えることです。
この記事では、約束手形と電子記録債権の違いから、仕訳の書き方、試験でよく出るポイントまで初心者向けにわかりやすく解説します。
約束手形とは
約束手形とは、将来の決められた日に代金を支払うことを約束した証券です。
簡単にいうと、
「○月○日に○円支払います」
という約束を書面にしたものです。
商品を販売した会社は、現金の代わりに約束手形を受け取ります。
反対に、商品を購入した会社は約束手形を振り出して支払いを約束します。
電子記録債権(でんさい)とは
電子記録債権とは、約束手形を電子化したような仕組みです。
紙の手形ではなく、コンピュータ上で権利や義務を管理します。
近年は手形の利用が減少しており、実務では電子記録債権を利用する企業が増えています。
税理士事務所の実務でも、紙の手形より電子記録債権を目にする機会が増えています。
約束手形と電子記録債権の違い
| 項目 | 約束手形 | 電子記録債権 |
|---|---|---|
| 管理方法 | 紙 | 電子データ |
| 紛失リスク | ある | ほぼない |
| 手続き | 書面中心 | ネット中心 |
| 現在の利用状況 | 減少傾向 | 増加傾向 |
簿記3級では、どちらも「将来代金を受け取る権利・支払う義務」として扱います。
簿記3級で覚える4つの勘定科目
まずは次の4つを整理しましょう。
| 勘定科目 | 分類 |
|---|---|
| 受取手形 | 資産 |
| 支払手形 | 負債 |
| 電子記録債権 | 資産 |
| 電子記録債務 | 負債 |
覚え方は簡単です。
お金を受け取る側
- 受取手形
- 電子記録債権
→ 資産
お金を支払う側
- 支払手形
- 電子記録債務
→ 負債
約束手形の仕訳
商品を販売して手形を受け取った
【取引】
商品5,000円を販売し、代金として約束手形を受け取った。
(借)受取手形 5,000 / (貸)売上 5,000
受取手形は資産なので借方です。
手形が満期になった
【取引】
受け取った手形が満期となり、当座預金に入金された。
(借)当座預金 5,000 / (貸)受取手形 5,000
受取手形という権利がなくなるため貸方になります。
商品を仕入れて手形を振り出した
【取引】
商品3,000円を仕入れ、代金として約束手形を振り出した。
(借)仕入 3,000 / (貸)支払手形 3,000
支払手形は負債なので貸方です。
手形代金を支払った
【取引】
満期日に手形代金を当座預金から支払った。
(借)支払手形 3,000 / (貸)当座預金 3,000
負債が減少するため借方になります。
電子記録債権の仕訳
売掛金を電子記録債権へ変更した
【取引】
売掛金3,000円について電子記録債権が発生した。
(借)電子記録債権 3,000 / (貸)売掛金 3,000
売掛金が電子記録債権に変わっただけです。
資産から資産への振替になります。
電子記録債務の仕訳
買掛金を電子記録債務へ変更した
【取引】
買掛金4,000円について電子記録債務が発生した。
(借)買掛金 4,000 / (貸)電子記録債務 4,000
支払義務の形が変わっただけなので、負債から負債への振替になります。
初心者が間違いやすいポイント
手形だから受取手形とは限らない
商品の売買で受け取った場合
→ 受取手形
お金を貸したときに受け取った場合
→ 手形貸付金
となります。
簿記では「何の取引か」を重視します。
「手形だから受取手形」と覚えないようにしましょう。
簿記3級で出るポイント
試験対策としては次の3点を押さえれば十分です。
- 受取手形は資産
- 支払手形は負債
- 電子記録債権と電子記録債務の仕訳
特に、
「売掛金 → 電子記録債権」
「買掛金 → 電子記録債務」
への振替仕訳は頻出です。
まとめ
約束手形と電子記録債権は、将来の代金決済を行うための仕組みです。
ポイントは次の4つです。
- 受取手形は資産
- 支払手形は負債
- 電子記録債権は資産
- 電子記録債務は負債
まずはこの分類を確実に覚えましょう。
そのうえで仕訳問題を繰り返し解けば、試験でも十分対応できるようになります。
簿記3級では、勘定科目の意味を理解すると仕訳が一気に簡単になります。基礎から体系的に学びたい方は、簿記初心者向けの記事もあわせて参考にしてみてください。

