約束手形・電子記録債権とは|違いと仕訳を初心者向けに解説【簿記3級】

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簿記の勉強を始めると、新しい言葉がたくさん出てきて手が止まっていませんか。

売掛金とか手形とか電子記録債権とか、漢字ばかりで難しい!!

大丈夫ですよ!
どちらも基本は「後払いの約束」のことです。

漢字が多いと難しく見えますが、仕組みはとてもシンプルです。

この記事で、手形と電子記録債権をマスターしましょう。

この記事でわかること
  • 約束手形と電子記録債権の基本
  • 売買と貸し借りで変わる仕訳ルール
  • 試験や実務で役立つ見極めのコツ

結論:手形も電子記録債権も「後払いの約束」

約束手形と電子記録債権は、どちらも「代金を後で支払う約束」を形にしたものです。

大きな違いは、「紙」で管理するか「データ」で管理するかです。

紙の証券を使うのが約束手形、コンピュータで管理するのが電子記録債権です。

簿記では、約束手形を受け取った場合は受取手形勘定、渡した場合は支払手形勘定を使用します。

電子記録債権も、取引内容により電子記録債権勘定電子記録債務勘定を使い分けます。

これらは、売掛金や買掛金よりも強い「証拠」になります。

約束手形とは

約束手形は長年利用されてきた決済手段です。

現在は電子記録債権(でんさい)への移行が進んでいますが、試験では重要論点として扱われています。

そもそもなぜ、わざわざ紙の証券を使うに至ったのでしょうか。

それは、ビジネスの取引金額が大きいためです。

会社同士の取引では、1回に数百万、数千万のお金が動きます。

もし、お金を払ってもらえなかったら、売った側は大損をしてしまうので、「後で払います」という言葉だけでは、相手は信用できません。

そこで、約束手形という紙の証券が作られました。

約束手形には、「誰が」「いつ」「いくら払うか」が書かれています。

これは、法律で守られた、とても強い約束の紙です。

約束手形のルール

手形を渡す人を振出人と呼び、代金を支払う責任がある人のことです。

手形をもらう人を受取人と呼び、代金をもらう権利がある人のことです。

手形には、お金を払う日である満期日(支払期日)が書かれています。

この日が来るまで、受取人はお金に換えることができませんが、銀行を通じて決済が行われるため、取引の安全性が高まります。

そのため、手形をもらった側は、安心して商品を渡すことができます。

このように、約束手形はビジネスを円滑にするための、素晴らしい道具なのです。

電子記録債権とは

紙の約束手形は、とても便利でしたが、時代とともに、いくつかの問題点が見えてきました。

  • 紙なので、無くしてしまうリスクがある
  • 金庫に保管していても、火事や盗難の心配がある
  • 手形を郵送するための手間や、切手代がかかる
  • 大きな金額の手形を発行するときは、印紙税という税金がかかる

これは、企業にとって大きな負担でした。

そこで、インターネットが普及した現代、これらの不満を一気に解決する新しい仕組みが登場しました。

それが、電子記録債権です。実務では、「でんさい」という名前で親しまれています。

すべてコンピュータの中で管理し、インターネットを通じて、専用の記録機関にデータを登録します。

データで管理されるため、紙の手形のような紛失・盗難リスクがありません。

また、収入印紙(印紙代がかかる)を貼る必要がありません。

これは、企業にとって大きなメリットです。

仕組みや権利の内容は約束手形と全く同じですが、現在のビジネス実務では、電子記録債権への移行が急速に進んでいます。

簿記3級の試験でも、非常によく出題される重要な論点です。

約束手形・電子記録債権の仕訳

それでは、具体的な仕訳の例を見ていきましょう。

簿記3級で狙われるパターンに分けて解説します。

商品の売買で約束手形を使ったとき

商品を売買したときの仕訳です。

売上側(受取人)は、後でお金をもらう権利を得て、資産の増加として受取手形勘定を使います。

仕入側(振出人)は、後でお金を払う義務が生まれ、負債の増加として支払手形勘定を使います。

【例題①】
A社は、B社に商品300,000円を売り上げ、同社振出しの約束手形を受け取った。

借方金額貸方金額
受取手形300,000円売上300,000円

資産である「受取手形」が増え、収益である「売上」が発生しました。

【例題②】
B社は、A社に商品300,000円を仕入れ、代金として約束手形を振り出した。

借方金額貸方金額
仕入300,000円支払手形300,000円

費用である「仕入」が発生し、負債である「支払手形」が増えました。

売掛金や買掛金を「電子記録債権」に切り替えたとき

実務や試験でよくあるのが、すでにある「ツケ」を電子記録債権に振り替える取引です。

【例題③】
A社は、B社に対する売掛金300,000円について、電子記録債権の発生記録を行った。

借方金額貸方金額
電子記録債権300,000円売掛金300,000円

売掛金という資産を減らし、電子記録債権という別の資産に換えました。

【例題④】
B社は、A社に対する買掛金300,000円について、電子記録債務の発生記録の通知を受けた。

借方金額貸方金額
買掛金300,000円電子記録債務300,000円

買掛金という負債を減らし、電子記録債務という別の負債に換えました。

満期日に決済された仕訳

約束手形が決済された場合の仕訳も、試験では頻出しています。

【例題⑤】
A社は、満期日の商品代金300,000円を受け取った。

借方金額貸方金額
当座預金300,000円受取手形300,000円

資産である「受取手形」が減り、「当座預金」が増えました。

【例題⑥】
B社は、満期日に代金300,000円を支払った。

借方金額貸方金額
支払手形300,000円当座預金300,000円

負債である「支払手形」が減り、資産である「当座預金」が減りました。

電子記録債権の消滅仕訳

こちらも、試験では非常によく出ます。

【例題⑦】
A社は、満期日に電子記録債権300,000円が入金された。

借方金額貸方金額
当座預金300,000円電子記録債権300,000円

資産である「電子記録債権」が減り、「当座預金」が増えました。

【例題⑧】
B社は、満期日に代金300,000円が引き落とされた。

借方金額貸方金額
電子記録債務300,000円当座預金300,000円

負債である「電子記録債務」が減り、資産である「当座預金」が減りました。

お金の貸し借りで約束手形を使ったとき

ここが一番の要注意ポイントです。

商品の売買ではなく、「お金の貸し借り」に手形を使うことがあります。

この場合は、通常の「受取手形」「支払手形」は使えません。

貸した側は手形貸付金(資産)を使い、借りた側は手形借入金(負債)を使います。

【例題⑨】
A社は、B社に現金100,000円を貸し付け、約束手形を受け取った。

借方金額貸方金額
手形貸付金100,000円現金100,000円

現金という資産が減り、手形貸付金という資産が増えました。

【例題⑩】
B社は、A社から現金100,000円を借り入れ、約束手形を振り出して渡した。

借方金額貸方金額
現金100,000円手形借入金100,000円

現金という資産が増え、手形借入金という負債が増えました。

試験対策:約束手形と電子記録債権の問題を解くコツ

約束手形や電子記録債権の問題は、登場する勘定科目が多いため難しく感じるかもしれません。

しかし、試験では確認すべきポイントが決まっています。

次の2つを意識するだけで、正しい勘定科目を選びやすくなります。

商取引か金融取引かを見極める

最初に確認したいのが、取引の目的です。

商品の売買によって発生した手形であれば、「受取手形」「支払手形」を使います。

一方で、現金の貸し借りによって発生した手形であれば、「手形貸付金」「手形借入金」を使います。

取引内容使う勘定科目
商品を売って手形を受け取る受取手形
商品を仕入れて手形を振り出す支払手形
お金を貸して手形を受け取る手形貸付金
お金を借りて手形を振り出す手形借入金

となります。

問題文にある「商品を仕入れた」「商品を売り上げた」「現金を貸し付けた」「現金を借り入れた」といった表現を見逃さないようにしましょう。

電子記録債権は「発生」と「消滅」を区別する

電子記録債権の問題では、「いつの場面か」を確認することが大切です。

電子記録債権や電子記録債務が新たに登録されたときは発生の仕訳を行います。

一方で、満期日が到来して代金が決済されたときは消滅の仕訳を行います。

発生なのか、決済なのかを確認すると、仕訳のミスを防ぎやすくなります。

よくある間違い①:売掛金と受取手形を混同する

売掛金と受取手形は、どちらも将来お金を受け取る権利を表す資産です。

そのため、初心者は混同しやすい傾向があります。

売掛金は、商品を販売したものの、まだ代金を受け取っていない状態を表します。

一方、受取手形は、約束手形という証券を受け取っている状態です。

問題文に「約束手形を受け取った」と書かれている場合は、売掛金ではなく受取手形を使用します。

よくある間違い②:現金の貸し付けなのに受取手形を使う

問題文に「約束手形を受け取った」と書かれていると、反射的に受取手形を選んでしまうことがあります。

しかし、取引の内容が現金の貸し付けであれば、使用する勘定科目は手形貸付金です。

簿記では、商品の売買による手形と、お金の貸し借りによる手形を区別します。

手形が登場したら、まず「商品の売買なのか」「現金の貸し借りなのか」を確認する習慣をつけましょう。

よくある間違い③:電子記録債権と受取手形を同じものとして扱う

どちらも将来お金を受け取る権利ですが、簿記上は別の勘定科目です。

約束手形を受け取った場合は受取手形を使います。

電子記録債権として登録された場合は電子記録債権を使います。

FAQ

Q
約束手形を受け取った当日中に銀行で換金することはできるか
A

いいえ、できません。
小切手は受け取った当日に換金できますが、約束手形には満期日(支払期日)があります。
その日付が来るまでは、銀行に行ってもお金に換えることはできません。
すぐに換金できない点が、手形の特徴です。

Q
もし満期日にお金が払えなかったらどうな
A

代金を支払えない状態を不渡りと呼び、会社にとって非常に危険な状態です。
半年の間に2回不渡りを出すと、銀行取引停止処分という重いペナルティを受けます。
当座預金が使えなくなるため、会社は事実上の倒産に追い込まれます。

Q
電子記録債権の発生に相手の承諾は必要?
A

必要です。
代金をもらう側(債権者)が勝手に記録を作ることはできず、必ず、代金を払う側(債務者)の承諾を得る必要があります。
お互いの合意のもとで、銀行を通じてシステムに登録を行います。

まとめ:ビジネスは信頼でできている

約束手形や電子記録債権を学ぶことは、ビジネスの信用を理解することです。

最初は科目の多さに戸惑うかもしれませんが、ルールはとても合理的です。

取引の目的や形に注目すれば、自然と正しい仕訳ができるようになります。

要点の振り返り
  • 約束手形は紙の証券を使い、電子記録債権はデータで支払いを約束する
  • お金の貸し借りで手形を使った場合は、手形貸付金や手形借入金を使う
  • 約束手形には満期日があり、その日が来るまで換金することができない

ここまで読んでいただきありがとうございます。

簿記は、一度で完璧に理解しようとすると挫折しやすい学習です。

少しずつ知識を積み重ねながら、簿記全体の流れを理解していきましょう。

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