毎月もらう給料の明細を見て、「なぜこんなに税金が引かれているのだろう」と思ったことはありませんか。

給料の仕訳って、実際に振り込まれた金額で書けばいいのかな?
天引きされた税金はどう処理するの?

実は、実際に渡す金額ではなく、額面の総額で計算するのが鉄則です。
天引きしたお金の正体も、一緒にすっきり整理していきましょう!
給料の仕訳は、見た目以上に「型」を知らないと一気に崩れやすい論点です。
特に社会保険料の会社負担が絡むと、急に難しく感じる人が多い部分でもあります。
でも安心してください。
このあとで、どんな問題でも迷わなくなる考え方をシンプルに整理していきます。
- 給料仕訳を「総額」で考える理由と基本ルール
- 源泉徴収されたお金が「預り金」として処理される仕組み
- 社会保険料における従業員負担と会社負担の考え方
結論:給料は「総額」で費用にするのが鉄則
簿記では、従業員に支払う手取金ではなく、額面通りの「給料総額」を費用として計上します。
これは、費用収益対応の原則に基づく考え方です。
つまり、その期間に発生した労働の対価は、実際に支払った金額ではなく、発生した金額全体で費用として認識する必要があるという考え方です。
会社は最終的に、従業員への支払いと国への納税を合わせて「給料の全額」を負担します。
そのため、手取金だけでなく、天引きされた税金や社会保険料も含めて給料という費用として扱います。
そして、天引き分は「後で国などに納付する義務」として預り金で処理します。
このように、手取金ではなく「発生した給料の総額」で捉えることが、正しい仕訳処理の基本です。
源泉徴収したお金は「後で払う義務」
給料から税金などを差し引くことを源泉徴収(げんせんちょうしゅう)と呼びます。
源泉徴収された金額は、会社が一時的に預かっているお金であり、預り金として処理します。
会社が従業員に代わり、税務署や年金事務所へ納付するまでの間の「預かり義務」にあたるためです。
所得税や社会保険料ごとに区分して負債として記録し、納付時に解消します。
この「預かったら負債」という考え方が、天引き処理の基本です。
「費用は借方」「負債の増加は貸方」という基本ルール
給料仕訳を正しく理解するには、勘定科目の基本ルールを押さえることが重要です。
給料のような費用は発生時に借方へ記録します。
費用は会社の資源の消費を意味するためです。
一方、天引きされた税金や社会保険料は、将来の支払義務として預り金に計上されます。
負債は増加すると貸方に記録するのが基本です。
このため、「費用=借方」「負債の増加=貸方」という型を押さえることで、仕訳は整理できます。
給料日と納付時のお金の動き
具体例で支給時と納付時の流れを確認します。
給料を支払ったとき
【例題1】
従業員の当月分給料総額100,000円から、所得税5,000円と社会保険料8,000円を源泉徴収し、残額を普通預金から支払った。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 給料 | 100,000円 | 所得税預り金 | 5,000円 |
| 社会保険料預り金 | 8,000円 | ||
| 普通預金 | 87,000円 |
給料は総額で費用計上し、控除分は負債、残額が支払額となります。
会社が負担する社会保険料を納付したとき
社会保険料は折半負担(せっぱんふたん)であり、会社も同額を負担します。
この会社負担分は法定福利費として費用処理します。
【例題2】
従業員から預かっていた社会保険料8,000円と、会社負担分8,000円の合計16,000円を、現金で年金事務所に納付した。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 社会保険料預り金 | 8,000円 | 現金 | 16,000円 |
| 法定福利費 | 8,000円 |
納付により預り金が消滅し、同時に会社負担分の費用が発生します。
試験対策:給料仕訳は「総額→内訳」の分解で整理する
社会保険料は従業員負担と会社負担がセットで出題されることが多く、個別に考えると混乱しやすい論点です。
そのため、まず給料全体を「総額」として把握し、そのうえで控除分や会社負担分に分解するという流れで整理することが重要です。
この「総額で捉えてから内訳に分ける」という型を徹底することで、どのパターンの問題でも仕訳の構造を安定して組み立てられるようになります。
よくある間違い:手取金ベースで仕訳してしまう
手取額だけを見て「給料87,000円」としてしまうのは典型的な誤りです。
給料はあくまで総額で捉える必要があります。
また、会社負担の社会保険料を忘れると、実際のコストを過小評価してしまいます。
FAQ
- Q所得税預り金と預り金は違う?
- A
試験では問題文の指定に従って勘定科目を使い分けます。
特に指示がない場合は「預り金」でまとめることもありますが、実務では内容を明確にするため個別科目を使うのが一般的です。
- Q給料の前貸しはどう処理する?
- A
給料の前貸しは費用ではなく、従業員への貸付として「従業員立替金(資産)」で処理します。
給料支給時に相殺して精算します。
- Qなぜ「預り金」だけ送り仮名があるの?
- A
簿記「預金」との混同を防ぐため、簿記では例外的に「預り金」と表記します。
実務や試験でもこの表記が標準として使われています。
まとめ:給料は「総額」で捉えると仕訳が一気にシンプルになる
給料の仕訳は、一見すると勘定科目が多そうに見えますが、ルールを守るだけのシンプルなパズルです。
この仕組みを理解すれば、自分自身の給与明細に書かれた金額が会社の中でどう処理されているのかが手に取るように分かります。
ビジネスの基本である給料の仕組みをマスターして、自信を持って学習を進めましょう!
- 給料は手取金ではなく「給料総額」で費用として計上する
- 天引きされた税金や社会保険料は「預り金」として処理する
- 会社負担の社会保険料は「法定福利費」として別に費用計上する
ここまで読んでいただきありがとうございます。
簿記は、一度で完璧に理解しようとすると挫折しやすい学習です。
少しずつ知識を積み重ねながら、簿記全体の流れを理解していきましょう。
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