「当期純利益って、結局どこの数字?」
「損益計算書で出た利益が、なぜ貸借対照表にも関係するの?」
簿記3級で決算の勉強に入ると、多くの人がここで混乱します。
特に初心者がわかりづらいのが、
- 当期純利益はどこで計算されるのか
- B/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)がどうつながるのか
- 繰越利益剰余金とは何が違うのか
- 決算振替仕訳はどう考えるのか
というポイントです。
でも安心してください。
当期純利益は、
「1年間の最終的な利益」
であり、その利益が決算で貸借対照表へ移動すると考えると、一気に理解しやすくなります。
この記事では、簿記3級初心者向けに、
- 当期純利益の意味
- 計算方法
- B/SとP/Lの関係
- 繰越利益剰余金との違い
- 決算振替仕訳
を、図解イメージでわかりやすく解説します。
当期純利益とは?
当期純利益とは、
一定期間の収益から費用を差し引いたあとに残る、会社の最終的な利益
のことです。
簡単にいうと、
「会社が1年間でどれだけもうかったか」
を表す数字です。
簿記では、この当期純利益を計算するために、損益計算書(P/L)を作成します。
当期純利益はどこに表示される?
当期純利益は、まず損益計算書(P/L)で計算されます。
損益計算書は、
- 収益
- 費用
- 利益
をまとめた書類です。
会社が1年間で、
- いくら稼いだのか
- いくら使ったのか
- 最終的にどれだけ利益が残ったのか
を表しています。
損益計算書では、一番最後に当期純利益が表示されます。
つまり、
当期純利益=損益計算書のゴール
です。
当期純利益の計算方法
当期純利益の計算はシンプルです。
基本の形は、
収益 − 費用 = 当期純利益
です。
たとえば、次のような場合を考えます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上などの収益 | 1,700円 |
| 給料・仕入などの費用 | 1,500円 |
| 当期純利益 | 200円 |
この場合、
1,700円 − 1,500円 = 200円
なので、当期純利益は200円になります。
つまり、会社が200円もうかったということです。
当期純利益と当期純損失の違い
収益の方が多ければ利益になります。
一方、費用の方が多ければ赤字になります。
| 状態 | 内容 |
| 収益 > 費用 | 当期純利益(黒字) |
| 収益 < 費用 | 当期純損失(赤字) |
簿記3級では、黒字だけでなく、赤字の場合の処理も重要です。
当期純利益と繰越利益剰余金の違い
初心者が特に混乱しやすいのが、
- 当期純利益
- 繰越利益剰余金
の違いです。
どちらも利益に関係する言葉ですが、意味は違います。
| 用語 | 意味 | 表示される場所 |
| 当期純利益 | 今期1年間の利益 | 損益計算書(P/L) |
| 繰越利益剰余金 | 過去から積み上がった利益 | 貸借対照表(B/S) |
つまり、
- 当期純利益 → 「今年のもうけ」
- 繰越利益剰余金 → 「これまでの利益の蓄積」
です。
決算になると、損益計算書で計算した当期純利益が、貸借対照表の繰越利益剰余金へ移動します。
B/SとP/Lはどうつながっている?
ここが簿記3級で最も重要なポイントです。
まず、それぞれの役割を整理しましょう。
| 書類 | 役割 |
| 損益計算書(P/L) | 今年どれだけもうけたか |
| 貸借対照表(B/S) | 今どれだけ財産があるか |
損益計算書で計算された当期純利益は、決算時に貸借対照表へ移動します。
具体的には、
繰越利益剰余金
という純資産の勘定に加えられます。
つまり、
- P/L → 利益を計算する
- B/S → 利益を蓄積する
という関係になっています。
なぜ利益が貸借対照表に入るの?
利益が出るということは、会社の価値が増えたということです。
会社がもうかると、その分だけ会社の財産も増えます。
そのため、当期純利益は最終的に貸借対照表の純資産へ加えられます。
イメージとしては、
- 損益計算書 → 「今年の結果発表」
- 貸借対照表 → 「これまでの成績表」
です。
今年の利益が、過去の利益の蓄積へ追加されるイメージです。
当期純利益がB/Sへ移動する流れ
決算では、利益を貸借対照表へ移動させるために、
決算振替仕訳
を行います。
ここで使うのが、
- 損益勘定
- 繰越利益剰余金
です。
決算振替仕訳の流れ
次の例で考えます。
| 項目 | 金額 |
| 収益 | 1,700円 |
| 費用 | 1,500円 |
| 当期純利益 | 200円 |
ステップ1:収益を損益勘定へ振り替える
まず、収益を損益勘定へ集めます。
(借)収益の各勘定 1,700 / (貸)損益 1,700
収益は通常、貸方残高です。
決算でゼロにするため、借方へ移します。
ステップ2:費用を損益勘定へ振り替える
次に、費用を損益勘定へ集めます。
(借)損益 1,500 / (貸)費用の各勘定 1,500
費用は通常、借方残高です。
決算でゼロにするため、貸方へ移します。
ステップ3:当期純利益を繰越利益剰余金へ移す
この時点で、損益勘定には200円の利益が残っています。
最後に、この利益を繰越利益剰余金へ移します。
(借)損益 200 / (貸)繰越利益剰余金 200
これによって、
- 損益勘定 → ゼロになる
- 繰越利益剰余金 → 増える
という状態になります。
つまり、
今年の利益が、会社の財産へ加わった
ということです。
初心者が間違いやすいポイント
1. 利益=現金だと思ってしまう
初心者が最も混乱しやすいポイントです。
当期純利益が100万円でも、現金が100万円あるとは限りません。
たとえば、
- 売掛金
- 未収入金
などがある場合、利益は出ていても現金はまだ回収していません。
実務でも、
「利益は出ているのに資金繰りが苦しい」
という会社はあります。
つまり、
- 利益 → 会社の価値
- 現金 → 実際のお金
であり、同じではありません。
2. 当期純利益という勘定科目で仕訳すると思ってしまう
簿記3級では、
「当期純利益」という勘定科目を直接使うわけではありません。
決算振替仕訳では、
- 損益
- 繰越利益剰余金
を使います。
ここは試験でも間違いやすいポイントです。
3. 赤字のときに逆になる
当期純損失の場合は、仕訳が逆になります。
黒字の場合:
(借)損益 / (貸)繰越利益剰余金
赤字の場合:
(借)繰越利益剰余金 / (貸)損益
赤字になると、会社の利益の蓄積が減るためです。
繰越利益剰余金の考え方
繰越利益剰余金は、会社がこれまで積み上げてきた利益の合計です。
イメージとしては、
利益の貯金箱
のようなものです。
毎年、
- 黒字なら増える
- 赤字なら減る
という形になります。
式で表すと、次のようになります。
期首繰越利益剰余金 + 当期純利益 = 期末繰越利益剰余金
この式は、簿記3級の決算理解でとても重要です。
FAQ
Q1. 当期純利益はどこで計算しますか?
損益計算書(P/L)で計算します。
収益から費用を引いて求めます。
Q2. 当期純利益は貸借対照表に表示されますか?
直接そのまま表示されるわけではありません。
決算後は、繰越利益剰余金へ振り替えられます。
Q3. 当期純利益と繰越利益剰余金の違いは?
当期純利益は「今年の利益」です。
繰越利益剰余金は「これまでの利益の蓄積」です。
Q4. 当期純利益と現金は同じですか?
違います。
利益は計算上の数字です。
現金は実際に持っているお金です。
Q5. 決算振替仕訳で「損益」が出てくる理由は?
損益勘定は、収益と費用を集計するための一時的な勘定です。
決算時だけ登場し、最終的に繰越利益剰余金へ利益を渡します。
まとめ
当期純利益は、
会社が1年間でどれだけもうけたかを表す最終利益
です。
損益計算書で、
収益 − 費用
によって計算されます。
そして決算時には、
- 損益勘定
- 繰越利益剰余金
を使った決算振替仕訳によって、貸借対照表へつながります。
つまり、
- P/L → 利益を計算する
- B/S → 利益を蓄積する
という関係です。
ここを理解できると、
- 決算振替仕訳
- 繰越利益剰余金
- B/SとP/Lのつながり
がかなりわかりやすくなります。
次に読むなら
当期純利益が理解できると、簿記3級の「決算」の全体像が見えやすくなります。
ただ実際には、
- 決算整理仕訳で止まる
- 損益勘定が混乱する
- B/SとP/Lがつながらない
- 仕訳問題になると手が止まる
という人も多いと思います。
簿記3級は、単発の知識ではなく、「仕訳」「財務諸表」「決算」をつなげて理解することが大切です。
簿記初心者向けに、基礎から順番に学べる記事をまとめています。


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