簿記3級を取得した後の進み方は、必ずしも2級だけではありません。
経理や会計の仕事に活かしたい人は2級を目指す、実際の仕事で簿記を使ってみたい人は実務を経験する、会社の数字やお金についてもっと知りたい人は関連分野へ学びを広げる、といった選択肢があります。
もちろん、3級の知識を復習して定着させたり、いったん勉強を終えたりすることも立派な選択です。
大切なのは、「3級の次だから2級」と決めるのではなく、簿記を使って何ができるようになりたいのかを考えることです。
この記事では、簿記3級を取得した後の主な選択肢と、それぞれどのような人に向いているのかを紹介します。
まずは目的から考える
簿記3級を取得した後は、次のように考えると選びやすくなります。
| 今のあなたの目的 | おすすめの進み方 |
|---|---|
| もっと簿記を深く学びたい | 簿記2級 |
| 経理・会計の仕事に活かしたい | 簿記2級+実務 |
| すぐに仕事で簿記を使ってみたい | 実務経験 |
| 会社の数字や決算書を読めるようになりたい | 決算書・会計を学ぶ |
| 税金や社会保険などにも興味がある | 関連分野へ広げる |
| 3級の内容がまだあやふや | まず3級を復習 |
| もともとの目的を達成した | 3級でいったん終了 |
このように、簿記3級の次に進む道は一つではありません。
まずは「資格をもう一つ取るか」ではなく、これから簿記を何に使いたいのかを考えてみましょう。
確認したい、簿記3級でできるようになったこと
簿記3級では、日々の取引を仕訳し、試算表や財務諸表につなげていくという、簿記の基本的な流れを学びます。
勉強する前は、「売上」「利益」「資産」「負債」といった言葉を知っていても、それぞれがどのようにつながっているのか分からなかったかもしれません。
簿記を学ぶことで、
- 取引を仕訳で表す
- 勘定科目ごとに整理する
- 試算表で数字を確認する
- 決算を経て財務諸表につなげる
という会社の数字の基本的な仕組みが分かるようになります。
これは3級で身につけられる大切な基礎です。
一方で、試験に合格したからといって、3級の内容をすべて完璧に理解している必要はありません。
仕訳や決算整理にまだ不安があるなら、無理に次の資格へ進まず、まずは3級の復習をするのもよいと思います。
反対に、
「もっと複雑な取引を知りたい」
「会社の数字をもっと深く理解したい」
「簿記を仕事に活かしたい」
と感じているなら、次のステップへ進むタイミングかもしれません。
3級の内容に不安があるなら、復習する
「3級に合格したけれど、仕訳がほとんど思い出せない」
という場合は、2級へ急いで進む必要はありません。
特に、
- 仕訳の基本があやふや
- 勘定科目の意味が分からない
- 試算表の役割を説明できない
- 決算整理の意味がよく分からない
- 貸借対照表と損益計算書の関係が分からない
といった状態なら、3級の内容をもう一度確認しておくと、その後の学習が楽になります。
資格を取得したことよりも、学んだ知識を自分の言葉で説明できることの方が、その後の学習や実務では役立ちます。
▶ 3級の苦手な論点を確認したい人は、簿記3級つまずき論点 へ。
簿記3級の次に2級を目指す
「もっと簿記を深く学びたい」という人に向いているのが、簿記2級です。
簿記2級では、3級で学んだ商業簿記をさらに深く学ぶほか、工業簿記も扱います。
3級よりも複雑な取引や企業活動について学ぶため、会社の数字をより詳しく理解したい人にとって、学びを広げることができます。
特に、
- 経理・会計の仕事を目指している
- 現在の仕事で簿記をもっと活かしたい
- 会社の数字をより深く理解したい
- 将来的にさらに会計を学びたい
という人は、2級を次の目標にするとよいでしょう。
ただし、簿記3級を取得した人が全員2級まで取得する必要があるわけではありません。
「もっと簿記を学びたい」という目的があるなら2級へ。
そうでなければ、別の道を選んでも構いません。
2級と3級の違いを知ろう
3級では、簿記の基本的な仕組みを理解することが中心でした。
2級では、より複雑な会計処理や企業活動を扱うため、単に3級の問題を難しくしただけではありません。
そのため、3級の内容があやふやなまま進むよりも、仕訳や決算の基本を確認してから2級の学習を始める方が、学習を続けやすくなります。
▶ 2級を始める前に全体像を知りたい人は、簿記2級を学ぶ前に へ。
▶ 簿記2級の勉強を始める人は、簿記2級スタートガイド へ。
簿記3級の知識を実務で使ってみる
「資格を増やすより、実際に簿記を使えるようになりたい」という人は、実務へ進む方法があります。
簿記の試験では、問題文を読んで仕訳を考え、正しい答えを出します。
しかし実務では、最初から「この仕訳をしてください」と問題が用意されているわけではありません。
領収書や請求書、通帳などの資料を確認し、
「これは何の取引なのか」
「どの勘定科目を使うのか」
「いつの取引として処理するのか」
といったことを考えながら処理していきます。
会計ソフトへの入力、売掛金・買掛金の管理、固定資産の管理、月次処理など、試験とは異なる知識や経験も必要です。
そのため、簿記3級を取得しただけですぐに経理実務ができるわけではありません。
それでも、3級で学んだ仕訳や勘定科目、決算の基本的な考え方は、実務を覚えるための土台になります。
「勉強を続けるより、実際に簿記を使ってみたい」という人は、3級の知識を持った状態で実務を経験してみるのもよいでしょう。
そして、実務を経験してから、「もっと簿記を知りたい」と感じたときに2級へ進む方法もあります。
つまり、
3級 → 2級 → 実務
という順番だけが正解ではありません。
3級 → 実務 → 2級
という進み方もできます。
▶ 簿記を実務でどう使うのか知りたい人は、簿記初心者向け実務コラム へ。
▶ より実践的な経理・会計の知識を知りたい人は、経理・実務で役立つ知識コラム へ。
簿記から決算書や会計について学びを広げる
簿記3級を勉強したことで、「会社の数字を見るのが面白い」と感じた人は、資格の勉強だけにこだわる必要はありません。
例えば、3級で学んだ貸借対照表や損益計算書を、実際の企業の決算書で見てみる方法があります。
勉強中は、
「売上が増えた」
「利益が増えた」
「資産が増えた」
という数字を計算するだけだったかもしれません。
しかし実際の決算書を見ると、
「なぜ売上が増えたのか?」
「売上が増えたのに利益が減っているのはなぜか?」
「利益が出ているのに、なぜ現金が少ないのか?」
と、数字の背景を考えることができます。
これは、簿記を「問題を解くための知識」から「会社の数字を理解するための道具」へ変えていく一歩です。
税金や社会保険など、簿記以外の分野へ広げる
簿記を勉強すると、会社のお金について興味が広がることがあります。
例えば、
- 法人税・所得税などの税金
- 給与と社会保険
- 退職金
- 家計管理
- 企業の決算書
- 経営や企業分析
などです。
これらは簿記そのものではありませんが、簿記で身につけた「数字を整理して考える」という力とつながっています。
「簿記2級を取ること」だけを次の目標にするのではなく、簿記を入口にして、自分が興味を持った分野へ進むのも一つの方法です。
例えば、
「会社の利益がどうやって生まれるのか気になる」
→ 決算書・企業分析へ
「給料から何が引かれているのか知りたい」
→ 給与・社会保険へ
「税金についてもっと知りたい」
→ 税金の学習へ
というように、興味のある方向へ進んでみましょう。
簿記3級でいったん勉強を終えてもいい
「3級を取ったら次は2級を取らなければ」と考える必要もありません。
例えば、
「仕事で必要な簿記の基本を知りたかった」
「お金の仕組みを理解したかった」
「資格を一つ取得することが目標だった」
という場合、3級を取得したことで最初の目的を達成できたのであれば、そこで勉強を終えても問題ありません。
一度勉強を終えたとしても、
「経理の仕事をすることになった」
「会社の決算書を見る機会が増えた」
「もっと会計を知りたくなった」
というタイミングが来れば、そのときにまた勉強を始めればよいのです。
簿記3級は、必ず2級へ進むための通過点ではありません。
3級をゴールにしてもいいし、2級や実務へ進むスタート地点にしてもいい。
大切なのは、自分にとって簿記を学ぶ目的に合わせて次のステップを選ぶことです。
簿記3級の次に迷ったら、この順番で考えてみよう
最後に、次の4つを考えてみましょう。
3級の知識は身についている?
まだ仕訳や決算の基本に不安があるなら、まずは復習。
もっと簿記を深く学びたい?
「もっと複雑な取引を知りたい」「会社の数字を深く理解したい」なら2級。
簿記を実際に使ってみたい?
資格より実践を重視したいなら、実務へ。
実務を経験してから2級を目指すこともできます。
簿記をきっかけに別のことに興味が出てきた?
決算書、税金、社会保険、給与、企業分析など、興味のある分野へ広げてみましょう。
そして、もともとの目的を3級で達成できたなら、そこでいったん終えても大丈夫です。
まとめ:簿記3級の次は「2級」ではなく「目的」で決める
簿記3級を取得した後の進み方は、一つではありません。
- もっと簿記を深く学びたい → 2級
- 簿記を仕事で使いたい → 実務
- 会社の数字をもっと知りたい → 決算書・会計
- 税金や社会保険などに興味がある → 関連分野
- 3級の理解に不安がある → まず復習
- もともとの目的を達成した → 3級でいったん終了
というように、自分の目的に合わせて選ぶことができます。
「3級の次だから2級」と資格の順番だけで決める必要はありません。
簿記を学んだことで、何ができるようになりたいのか。
そこから次の一歩を考えてみてください。
そして、もし「もっと簿記を深く学びたい」「経理や会計の仕事に活かしたい」と思ったなら、次は簿記2級へ進んでみましょう。




