簿記3級を勉強して、仕訳や決算の問題を解けるようになった。
でも、勉強が終わってみると、
「この知識って、実際には何に使うんだろう?」
と感じることはありませんか。
簿記は、試験問題を解くためだけの知識ではありません。
売上や費用、利益、資産、負債など、簿記3級で学んだ知識は、実際の会社の決算書やニュースに出てくる企業の数字を見るときにも使えます。
この記事では、簿記3級で勉強した知識を、実際の数字に当てはめて使ってみる方法を紹介します。
簿記3級の知識は「数字を見る」ときにも使える
簿記の勉強では、取引を仕訳にして、勘定科目ごとに集計し、最終的に財務諸表へつなげていきます。
試験では、問題文から必要な情報を読み取り、正しい仕訳や金額を求めることが中心です。
一方、実際の会社の数字を見るときは、少し見方が変わります。
例えば、
「売上高が前年より増えている」
という数字を見たときに、
「なぜ売上が増えたんだろう?」
と考えてみる。
さらに、
「売上が増えたのに、利益はどうなっている?」
「費用は増えていない?」
「資産や負債には変化がない?」
と数字を追っていく。
このように、簿記で学んだ知識を使って数字の変化を考えてみると、勉強していた内容が実際の会社とつながってきます。
まずは実際の決算書を見てみる
簿記3級の知識を使ってみるなら、実際の企業の決算書を見るのがおすすめです。
上場企業であれば、企業のホームページや金融庁の電子開示システムなどから決算情報を確認できます。
最初からすべてを理解しようとする必要はありません。
まずは、簿記3級で学んだ項目を探してみましょう。
損益計算書を見る
最初に確認しやすいのが損益計算書です。
例えば、
- 売上高
- 売上原価
- 売上総利益
- 販売費及び一般管理費
- 営業利益
- 経常利益
- 当期純利益
などを確認してみます。
簿記3級で勉強した「売上」「費用」「利益」が、実際の会社の決算書ではどのように表示されているのかを見ることができます。
ここで、単に数字を確認するだけで終わらせず、
「前年と比べてどうなった?」
「売上と利益は同じように増えている?」
「利益率はどうなっている?」
と考えてみると、さらに面白くなります。
「売上が増えた=会社が儲かった」とは限らない
例えば、ある会社の売上高が前年の100億円から120億円に増えたとします。
売上が20億円増えているので、一見すると業績が良くなったように感じます。
しかし、利益まで確認してみると、
前年:営業利益10億円
今年:営業利益6億円
となっているかもしれません。
この場合、
「売上は増えているのに、営業利益は減っている」
ということになります。
では、なぜでしょうか。
売上原価が増えたのかもしれません。
人件費や広告費などの費用が増えたのかもしれません。
このように、決算書の数字を見ながら、
「この数字はなぜ変わったのだろう?」
と考えることが、簿記の知識を使ってみる一つの方法です。
もちろん、簿記3級だけですべての理由を分析できるわけではありません。
分からないことが出てきたら、その都度調べてみれば大丈夫です。
貸借対照表も見てみる
損益計算書だけでなく、貸借対照表も見てみましょう。
簿記3級では、
- 資産
- 負債
- 純資産
という区分を学びます。
実際の貸借対照表では、現金及び預金、売掛金、商品、建物、借入金など、さまざまな項目が並んでいます。
ここでも、まずは知っている勘定科目を探してみるだけで構いません。
さらに、
「現金及び預金は前年と比べて増えた?」
「借入金は増えている?」
「売掛金が大きく増えていない?」
など、前年との変化を見てみます。
簿記の勉強中は、問題を解くために貸借対照表を見ていたかもしれません。
実際の決算書では、会社の状態を知るために貸借対照表を見ることができます。
「利益があるのに現金が少ない」のはなぜ?
簿記を勉強すると、
「利益が出ている=お金が増えている」
とは限らないことにも気づきます。
例えば、商品を販売して売上を計上しても、代金をまだ受け取っていなければ売掛金として残っています。
また、減価償却費のように、費用として計上されても、その時点で現金が出ていくわけではないものもあります。
このような仕組みを知っていると、
「利益が出ているのに、なぜ現金がそれほど増えていないんだろう?」
という疑問を持てるようになります。
ここまで来ると、簿記の知識が単なる仕訳の暗記ではなく、会社のお金の動きを考えるための道具になってきます。
ニュースに出てくる企業の数字を見てみる
決算書をじっくり読むのが難しければ、ニュースから始めても構いません。
例えば、
「○○社、売上高が過去最高」
「営業利益が前年同期比で増加」
「最終利益が減少」
といったニュースを見かけたら、簿記で学んだ知識を思い出してみましょう。
「売上高」と「営業利益」は何が違うのか。
「営業利益」と「当期純利益」はどう違うのか。
「前年同期比○%増」とは、どのような意味なのか。
こうした言葉を、簿記3級で学んだ内容と結びつけて考えてみます。
ニュースを読むだけでも、簿記の知識を実際の数字に当てはめる練習になります。
分からない項目があっても大丈夫
実際の決算書を見ると、簿記3級では見たことのない勘定科目や項目がたくさん出てきます。
「この項目は何だろう?」
と思うこともあるでしょう。
それは当然です。
実際の企業の決算書は、簿記3級の問題集よりもずっと複雑です。
大切なのは、最初からすべて理解しようとしないこと。
まずは、
- 知っている項目を探す
- 前年と比べる
- 増えたもの・減ったものを見つける
- 「なぜだろう?」と考える
- 分からなければ調べる
という流れで見てみましょう。
分からない項目が出てきたら、それは次に学ぶテーマを見つけたということでもあります。
身近な数字にも簿記の考え方を使ってみる
会社の決算書だけでなく、身近なお金について考えるときにも、簿記で身につけた「数字を整理して考える」という視点は役立ちます。
例えば、家計を見ながら、
「毎月どんな支出があるのか」
「固定的にかかるお金はどれくらいか」
「一時的に増えた支出は何か」
などを整理してみます。
ただし、家計をそのまま会社の会計と同じように考える必要はありません。
ここで活用したいのは、簿記の仕訳そのものというより、お金の動きを項目ごとに整理して数字を見る考え方です。
簿記を勉強したことで、これまで何となく見ていた数字を、少し違った視点から見られるようになるかもしれません。
簿記3級の知識を「答えを出す」ためだけに使わない
簿記の試験では、問題に対して正しい答えを出すことが求められます。
しかし、実際の数字を見るときには、必ずしも一つの正解が用意されているわけではありません。
例えば、
「売上が増えた」
という事実があったとしても、
「なぜ増えたのか」
にはさまざまな理由が考えられます。
そこで、
「売上が増えた」
↓
「利益はどうなった?」
↓
「費用はどうなった?」
↓
「資産や負債はどうなった?」
↓
「なぜ変化した?」
と考えていく。
これは、簿記3級で学んだ知識を、数字を理解するために使っている状態です。
試験では「答えを出すため」に使っていた知識を、今度は「なぜこうなったのかを考えるため」に使ってみましょう。
実際の経理の仕事で簿記を使う場合は?
ここまで紹介してきたのは、決算書やニュース、身近な数字を見ながら、簿記3級で学んだ知識を「使ってみる」方法です。
一方で、実際に経理の仕事で簿記を使う場合には、仕訳の知識だけでなく、請求書や領収書などの資料を確認したり、会計ソフトを操作したり、実際の取引を判断して処理したりする場面があります。
つまり、「簿記の知識を使って数字を見てみること」と「経理実務を行うこと」は同じではありません。
簿記3級の知識が実際の経理業務でどこまで使えるのか、できること・できないことを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ:簿記3級を取ったら、実際の数字を見てみよう
簿記3級を取得した後は、すぐに次の資格へ進むだけでなく、学んだ知識を実際の数字に当てはめてみるのもおすすめです。
例えば、
- 実際の企業の損益計算書を見る
- 貸借対照表を前年と比較する
- 売上と利益の変化を見る
- ニュースに出てくる企業の数字を確認する
- 身近なお金の動きを整理してみる
といった方法があります。
最初からすべてを理解する必要はありません。
簿記3級で知っている項目を見つけて、「前年と比べてどうなった?」「なぜ変わった?」と考えてみるだけでも十分です。
そうすると、簿記が「試験問題を解くための知識」から、現実の数字を見るための道具へと変わっていきます。
そして、実際の数字を見ているうちに、
「もっと会社の数字を知りたい」
「経理の仕事ではどう処理しているんだろう」
「もっと複雑な会計を学びたい」
と感じることもあるでしょう。
そのときは、簿記2級や実務、決算書・企業分析など、興味を持った方向へ学びを広げていけばいいのです。
まずは身近な会社や気になる企業を一つ選んで、簿記3級で学んだ知識を使って数字を眺めるところから始めてみましょう。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
簿記3級で学んだことを実際の数字に当てはめてみると、もっと知りたいことが見つかるかもしれません。
「次は何を勉強しよう?」「2級に進むべき?」「実務に挑戦してみよう?」と迷ったら、こちらの記事で次のステップを考えてみてください。


