「現金を数えたら帳簿の金額と合わない……」
「不足しているときはどんな仕訳をするの?」
「決算まで原因が分からなかったらどうなるの?」
簿記3級を学習していると、必ず登場するのが**現金過不足(げんきんかふそく)**です。
現金過不足は、帳簿上の現金残高と実際に持っている現金の金額が一致しないときに使う勘定科目です。
試験では頻出論点ですが、
- 不足と超過がごちゃごちゃになる
- 雑損・雑益との関係が分からない
- 決算日の処理で混乱する
という受験生が少なくありません。
この記事では、
- 現金過不足とは何か
- 発生時の仕訳
- 原因判明時の仕訳
- 雑損・雑益への振替
- 決算日に発見した場合の処理
を初心者向けにわかりやすく解説します。
まず結論|現金過不足の仕訳一覧
試験でよく出る仕訳を先に確認しておきましょう。
| 場面 | 仕訳 |
|---|---|
| 現金不足発生 | (借)現金過不足 / (貸)現金 |
| 現金超過発生 | (借)現金 / (貸)現金過不足 |
| 原因判明 | 正しい勘定科目 / 現金過不足 |
| 原因不明のまま決算 | 雑損または雑益へ振替 |
| 決算日に初めて発見 | 直接雑損・雑益で処理 |
まずは、
「実際有高に帳簿を合わせる」
という原則だけ覚えておきましょう。
現金過不足とは?
現金過不足とは、
帳簿残高と実際有高に差額が生じた状態
をいいます。
用語の意味
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 帳簿残高 | 帳簿に記録されている現金 |
| 実際有高 | 実際に保有している現金 |
| 現金過不足 | 両者の差額 |
例えば、
- 帳簿残高:10,000円
- 実際有高:9,000円
だった場合、
1,000円の現金不足が発生しています。
この差額を一時的に記録するために使うのが現金過不足です。
なぜ現金過不足が発生するのか
主な原因は次のとおりです。
- 記帳漏れ
- 記帳ミス
- 計算ミス
- 入金・支払いの処理漏れ
- 現金の紛失
簿記では原因が分かるまで放置せず、まず差額を記録します。
現金過不足は「仮勘定」
現金過不足は通常の勘定科目とは少し違います。
仮勘定とは
原因が判明するまで一時的に使用する勘定科目です。
つまり、
「何が原因かまだ分からないけれど、とりあえず差額だけ記録しておこう」
というための科目です。
そのため最終的には必ず消えることになります。
現金過不足の仕訳① 発生時
現金不足の場合
帳簿残高1,000円
実際有高900円
不足額100円
現金を実際有高に合わせるため、100円減らします。
(借)現金過不足 100 / (貸)現金 100
ポイント
不足しているので、
現金を減らす
ことが最優先です。
現金超過の場合
帳簿残高1,000円
実際有高1,100円
超過額100円
現金を100円増やします。
(借)現金 100 / (貸)現金過不足 100
ポイント
超過しているので、
現金を増やす
と考えましょう。
現金過不足の仕訳② 原因が判明した場合
現金不足100円の原因が、水道光熱費の記帳漏れだったと判明したとします。
本来計上すべきだった水道光熱費を記録します。
(借)水道光熱費 100 / (貸)現金過不足 100
これで現金過不足勘定はゼロになります。
現金過不足の仕訳③ 原因不明のまま決算を迎えた場合
現金過不足は仮勘定なので、決算書には載せられません。
そのため決算時には振替処理を行います。
不足の場合
現金不足100円
原因不明
(借)雑損 100 / (貸)現金過不足 100
不足は会社にとって損失なので雑損になります。
超過の場合
現金超過100円
原因不明
(借)現金過不足 100 / (貸)雑益 100
超過は会社にとって利益なので雑益になります。
試験頻出|決算日に初めて発見した場合
ここは簿記3級で非常によく出題されます。
通常の場合
発見
↓
現金過不足
↓
原因調査
↓
雑損・雑益
という流れです。
決算日に発見した場合
決算日には原因調査を行う時間がありません。
そのため現金過不足を使わず、
直接雑損・雑益で処理します。
例
帳簿残高150,000円
実際有高147,000円
不足額3,000円
(借)雑損 3,000 / (貸)現金 3,000
試験のポイント
問題文に
- 決算日
- 決算整理
という言葉が出てきたら要注意です。
初心者が間違えやすいポイント
① 帳簿を基準に考えてしまう
正しいのは実際有高です。
簿記では、
実際有高=正解
と考えます。
② 不足なのに現金を増やしてしまう
不足しているなら現金は減ります。
超過しているなら現金は増えます。
まず現金の増減を決めましょう。
③ 決算日なのに現金過不足を使う
決算日に初めて発見した場合は、
現金過不足を使いません。
直接雑損・雑益です。
実務ではなぜ重要なのか
税理士事務所でも現金実査は重要な確認作業です。
一見すると数百円のズレでも、
- 記帳漏れ
- 領収書の紛失
- 入力ミス
などが隠れている場合があります。
そのため実務では原因が判明するまで調査を行い、帳簿と現金を一致させます。
簿記3級の問題も、この考え方を理解していると解きやすくなります。
FAQ
現金過不足は資産ですか?
いいえ。
原因が判明するまで使う仮勘定です。
雑損と雑益はどう覚えればいいですか?
不足なら損失なので雑損。
超過なら利益なので雑益です。
1円のズレでも処理しますか?
簿記のルール上は処理します。
実務でも小さな差額を軽視しません。
現金過不足は決算書に載りますか?
載りません。
決算までには必ず雑損・雑益などへ振り替えます。
まとめ
現金過不足は、帳簿残高と実際有高に差額が発生したときに使う仮勘定です。
覚えるべきポイントは次の5つです。
- 現金過不足は帳簿と実際有高の差額
- 実際有高に帳簿を合わせる
- 発生時は現金過不足を使う
- 決算時に原因不明なら雑損・雑益へ振り替える
- 決算日に初めて発見した場合は直接雑損・雑益で処理する
特に試験では、
「決算日に発見したかどうか」
がよく問われます。
発生時・原因判明時・決算時の流れをセットで覚えておきましょう。
簿記3級では現金過不足のほかにも、小口現金や当座預金など現金関連の論点が数多く登場します。
あわせて学習すると理解がさらに深まります。

